舞台が上がる前に、ひとりトニオが登場し、「道化を演じていても人間であり、私たちの魂を考慮してください」と歌います。作者の代弁ともとれる台詞があり、「真実より触発されたのだ」と言っています。
「ごめんください、皆様がた」Prologue from Pagliacci
Si può?… Si può?…
Signore! Signori!… Scusatemi
se da sol me presento.
Io sono il Prologo:
Poiché in iscena ancor
le antiche maschere mette l’autore,
in parte ei vuol riprendere
le vecchie usanze, e a voi
di nuovo inviami.
失礼!よろしいですか?
淑女と紳士の皆さん。お許しください
私、一人で自己紹介します。
私はプロローグと申します。
著者は舞台の上におり、
昔ながらの仮面の舞台にしました。
再び取り上げたい部分があるのです。
昔の風習を、そして皆様の前に
こうしてまた、私を送り出したのです。
作者が古い仮面劇をやりたいというから、一部古いしきたりを再開した。昔の風習とは、トニオを出すことであり、この「プロローグ」のことを言っている。
Ma non per dirvi come pria:
«Le lacrime che noi versiam son false!
Degli spasimi e de’ nostri martir
non allarmatevi!» No! No:
L’autore ha cercato
invece pingervi
uno squarcio di vita.
Egli ha per massima sol
che l’artista è un uom
e che per gli uomini
scrivere ei deve.
Ed al vero ispiravasi.
しかし、以前のように言うわけにはいきません。
「私たちが流す涙は偽りです!
私の苦悩と悲しみを
心配しないでください!」だめだ!だめだ。
筆者が試みましたのは
与えようとしたのです。
人生を垣間見るものを
彼の信念はひとつでした。
役者も人間であり、
(役者の)人間(性)のために
書かねばならないという
そして、それは真実より触発されたのです。
Un nido di memorie
in fondo a l’anima
cantava un giorno,
ed ei con vere lacrime scrisse,
e i singhiozzi
il tempo gli battevano!
Dunque, vedrete amar
sì come s’amano gli esseri umani;
vedrete de l’odio i tristi frutti.
Del dolor gli spasimi,
urli di rabbia, udrete,
e risa ciniche!
思い出の巣の中で
心の奥底から
ある日響きだし
彼は、本物の涙で書きました。
嗚咽を漏らしながら
彼の時間が刻まれたのです!
だから、あなたは愛の術を知るでしょう。
人間が愛されるための
憎しみの悲しい結末を、見るでしょう。
苦痛に震える声を
怒りの叫びを聞くでしょう。
そして、皮肉な笑いを!
E voi, piuttosto
che le nostre povere gabbane d’istrioni,
le nostr’anime considerate,
poiché siam uomini
di carne e d’ossa,
e che di quest’orfano mondo
al pari di voi spiriamo l’aere!
Il concetto vi dissi…
Or ascoltate com’egli è svolto.
Andiam. Incominciate!
そして、皆さん、決して
気の毒なギャバジンの芝居に惑わされることなく
私たちの魂を考えてください。
私たちは人間なので
生身の人間で
そして、この孤独な世界の
空気を吸うのですから!
コンセプトは言いました。
さて何が行われるか、今からご覧ください
行くぞ、始まり!
gabbane…ギャバジン、中世の男性が着た貧しい人の服
「ごめんください、皆様がた」の解説
Ed al vero ispiravasi.
そして、それは真実より触発されたものです。
トニオが上のように言っていますが、「道化師」は実話に基づいていると言われています。レオンカヴァッロの少年時代に実際起こった事件で、彼の父が判決を下しました。
舞台劇「タバランの妻」の翻案という説がある
オペラ「道化師」と、カルチュール・マンデスの「タバランの妻」には、台詞の類似性があるので、翻案なのだろうな、という印象です。当時も問題になったそうです。