カヴァレリア・ルスティカーナ・全1幕
サントゥッツァは、トゥリッドゥの浮気に悩んでいます。トゥリッドゥの母に、彼の浮気を何とかしてほしいと相談します。その時のアリアが「ママも知るとおり」です。
「ママも知るとおり」Voi lo sapete, o mamma【歌詞と対訳】
Voi lo sapete, o mamma,
Prima d’andar soldato,
Turiddu aveva a Lola
Eterna fè giurato.
Tornò, la seppe sposa;
E con un nuovo amore
Volle spegner la fiamma
Che gli bruciava il core:
M’amò, l’amai.
Quell’invidia d’ogni delizia mia,
Del suo sposo dimentica,
Arse di gelosia…
Me l’ha rapito…
Priva dell’onor mio rimango:
Lola e Turiddu s’amano,
Io piango, io piango!
知っているでしょう。お母さん。
兵士になる前に
トゥリッドゥはローラに
永遠の誓いを立ていたのです。
でも帰ってくると、彼女が結婚したのを知り
新しい愛で
彼は(心を燃やしたほどの)炎を消そうとしました。
心を燃やしたほどの。
彼は私を愛し、私も彼を愛しました。
私の喜びを妬んで
彼女(ローラ)は夫のことを忘れ
嫉妬に燃えました…
彼女は、私から彼を奪ったのです…
私の名誉は失われ、私は残されました
ローラとトゥリッドゥは愛し合っています。
私は泣く、泣くしかないのです!
【解説】トゥリッドゥ親子に関わってしまった、サントゥッツァの悲劇
Miseri noi,
Che cosa vieni a dirmi
In questo santo giorno?
トゥリッドゥの母
惨めな私たち、
あなたは、何を言いに来たのよ
この聖なる日に?
Aiutatela voi,
Santa Maria!
トゥリッドゥの母
彼女を助けてあげて
聖マリア様!
ひとつめの台詞は、嫌味。ふたつめの台詞は、皮肉ですね。「彼女を助けてあげて」が、サントゥッツァを心配しての一言ではないのは、トゥリッドゥの母が「面倒、関わりたくないという態度」をずっと取っていたことでわかります。
M’amò, l’amai. 彼は私を愛し、私も彼を愛しました。
オペラの「カヴァレリア・ルスティカーナ」のほうでは「彼は私を愛し」と歌い、サントゥッツァは自分が利用されたことに気がついていません。
「カヴァレリア・ルスティカーナ」の原作ではサントゥッツァは、自分が利用されたと気がついています。
l’amaiは、3度繰り返し、感情が高ぶるように歌われます。この爆発する感情が、この後のローラの夫に「トゥリッドゥとローラの不倫」を教える動機につながります。