アイーダ 第3幕
夜中のナイル川のほとり。アイーダは、ラダメスに呼び出されて一人で待っています。父は捕虜になり、ラダメスはアムネリスとの結婚が国王により決定され、自分の身の上を絶望。故郷に戻る夢、ラダメスとの愛の夢が全て消えてしまい、悲しみの中歌うのが、「おお、わが故郷」です。
「おお、わが故郷」O patria mia 歌詞と対訳
O patria mia, mai più ti revedrò!
O cieli azzurri, o dolci aure native,
dove sereno il mio mattin brillò,
O verdi colli, o profumate rive,
o patria mia, mai più ti revedrò!
O fresche valli, o queto asil beato,
che un dì promesso dall’amor mi fu;
Or che d’amore il sogno è dileguato,
o patria mia, non ti vedrò mai più!
おお私の故郷、もう二度と見ることはない!
青い空、優しい故郷の風よ、
朝が静かに輝いていた場所
おお緑の丘、香りのよい岸辺よ
おお私の故郷、もう二度と見ることはない!
涼しい渓谷よ、穏やかで至福の避難所よ
かつて私に愛が約束されていたのに
今は、愛の夢が消え去ってしまった。
私の故郷、もう決して見ることはない!
「おお、わが故郷」の解説
Il tuo bel cielo vorrei ridarti,
le dolci brezze del patrio suol;
un regal serta sul crin posarti,
ergertiun trono vicino al sol.
あなたに美しい空を返そう。
祖国の優しい風を
王の冠を君の髪にのせ
太陽近くの玉座を作ってあげよう
・アイーダが故郷を懐かしむときに思い出すのが、青い空と優しい風。
・ラダメスが、アイーダに返してあげたいと思ったのは、美しい空と優しい風。
もしかして、二人の会話の中で、アイーダが「故郷の空と風が恋しい」とよく言っていたのかもしれません。
「mai più マイ・ピゥ」意味は「二度と」
「おお、わが故郷」を聞いていると、何度か「マイ・ピゥ」という耳に残る言葉が。
mai più 二度と、もう決して
繰り返されることで「二度と」故郷には行けない、というアイーダの絶望が表現されています。