蝶々夫人 第2幕
ピンカートンは、蝶々さんが子供を産み育てていたこと、帰りを待ち続けていたことを知りました。自分の行いを恥じ、蝶々さんが事実(ピンカートンがアメリカで正式な結婚をしたこと)を知り、悲しむ姿を見たくないと去って行きます。そのときに歌われるのが、「さようなら、愛の家よ」です。
「さようなら、愛の家よ」Addio fiorito asil 歌詞と対訳
Addio fiorito asil,
di letizia e d’amor.
Sempre il mite suo sembiante
con strazio atroce vedrò.
さようなら、花咲く家よ。
喜びと愛に満ちた
柔和な彼女の面影を
ずっと見ることだろう
Ma or quel sincero pressago è già.
いや、もう今はつらい圧力が。
Addio, fiorito asil,
さようなら、花咲く家よ
Vel dissi, vi ricorda?
e fui profeta allor.
私は言ったろう?覚えてるか?
あのとき、私は予言者だった!
non reggo al tuo squallor,
ah, non reggo al tuo squallor.
Fuggo, fuggo: son vil!
Addio, non reggo al tuo squallor,
ah! son vil, ah! son vil!
僕はお前の悲しむ姿に耐えられない。
ああ、僕は悲しみに耐えられない
逃げるんだ、逃げるんだ 僕は悪人だ!
さようなら、僕はお前の悲しみに耐えられない
ああ!僕は悪人だ!ああ!僕は悪人だ!
Andate, il triste vero apprenderà.
行きなさい。悲しい事実を知るでしょう。
「さようなら、愛の家よ」の解説
シャープレスが、「蝶々さんは、悲しい事実を知るだろう」と言っています。
triste vero 悲しい事実
「ピンカートンに愛があったのか、なかったのか」その解釈は、見る人の自由です。
ですが、二人の関係を最初から最後まで見届けることになってしまった、シャープレスが言う「悲しい事実」という言葉は、二人の関係をある程度明確にしています。ピンカートンは蝶々さんを一時の慰み者として見ており、蝶々さんだけが本気で結婚していたことを。