チェネレントラ 第1幕
女性たちの本当の姿が知りたい、王子ドン・ラミロ。従者のダンディーニが王子に変装することで、陰から様子をうかがいます。
ダンディーニが華々しく王子になりすます「四月の日々に飛ぶ蜜蜂のように」です。歌いながら、王子に変装がうまいでしょ、と呼びかけるのが面白いです。
「四月の日々に飛ぶ蜜蜂のように」Come un’ape ne’ giorni d’aprile【歌詞と対訳】
Scegli la sposa, affrettati:
S’invola via l’età.
La principesca linea.
Se no s’estinguerà.
騎士たち
花嫁をお選びください、急いで
年月は飛んでいく。
王家の血筋は、
そうしなければ、途絶えてしまいます。
Come un’ape ne’ giorni d’aprile
Va volando leggiera e scherzosa;
Corre al giglio, poi salta alla rosa,
Dolce un fiore a cercare per sé;
Fra le belle m’aggiro e rimiro;
Ne ho vedute già tante e poi tante
Ma non trovo un giudizio, un sembiante,
Un boccone squisito per me.
4月の蜂のように、
軽やかに遊び心があります。
ユリに駆け寄り、バラに飛び、
自分のために甘い花を探し回るのです。
美しさの間をさまよい、見つめてきました
私はすでに多くの、多くのものを見てきました
だが、思慮深く美しい者を見つけていないのです。
おいしい味わいだと思えるものには
Prence!
Sire…
Ma quanti favori!
娘ふたり
王子!殿下…なんという恩恵!
Che diluvio! che abisso di onori!
なんと大洪水!なんと名誉の深淵だ!
Nulla, nulla;
Vezzosa; graziosa!
(accostandosi a Ramiro, piano)
Dico bene?. Son tutte papà.
何の、何の。
美しい、愛らしい!
(ラミーロに近づき、そっと)
うまいでしょ?(あなたの)父君にそっくりでしょ。
Bestia! attento! ti scosta; va’ là.
ばかもの!気を付けろ!離れてろ、向こうに行け
Per pietà, quelle ciglia abbassate.
Galoppando sen va la ragione,
E fra i colpi d’un doppio cannone
Spalancato è il mio core di già.
Vezzosa; graziosa!
Son tutte papà.
Ma al finir della nostra commedia
Che tragedia qui nascer dovrà.
お願いです、その目を伏せてくださいますか
理性もなく、駆け寄りたくなり
二つの大砲の砲撃で
私の(心の)中心部分まで、開け放たれています。
美しい、愛らしい!
(あなたたちは)父親にそっくりですね
しかし、私たちの喜劇の終わりには
どのような悲劇が生まれることになるだろう
Ei mi guarda. Sospira, delira
Non v’è dubbio: è mio schiavo di già.
娘ふたり
私を見て、ため息つき、混乱しているわ。
疑いの余地はない。彼はすでに私の奴隷よ
Dico bene?
うまいでしょ?
Bestia!
ばかもの!
Grazie
どうも
【解説】王子も手に負えない?お調子者のダンディーニ
Bestia…獣、けだもの、罵るときに言う言葉
「ばかもの」と訳しましたが、人に向かって言わない方がいい言葉です。「手に負えないヤツ」みたいなイメージです。