ワーグナーの「さまよえるオランダ人」との比較ができるので、「フォン・シュナーベレヴォプスキー氏の回想記」を簡単にまとめておきます。内容は、4つに区切ることができました。劇場で「さまよえるオランダ人」に関する作品を見たときの回想文という形になっています。
- 「さまよえるオランダ人」の説明
- 劇場で「さまよえるオランダ人」の作品を見る
- 劇の途中で、女性に誘われて席を立つ
- 劇場に戻り続きをみる。作品の結末
ドイツ語で読むならこちらから。Aus den Memoiren des Herren von Schnabelewopski
「フォン・シュナーベレヴォプスキー氏の回想記」
1・「さまよえるオランダ人」の説明
さまよえるオランダ人の話は有名だ。オランダ人の船は港に着くことが出来ず、永遠に海をさまよっている。呪われた船の船員は他の船を見つけると、小舟に乗ってやってくる。彼らは一束の手紙を持って行って欲しいと頼む。手紙は、はるか昔に亡くなった者に宛てられたものだった。
船の船長は、オランダ人だ。かつて嵐の中、ある岬を通るときに「悪魔の名にかけて通ろう」と言ったために、悪魔に呪われてしまった。悪魔の呪いを解くには、女性の誠実な愛が必要だった。悪魔はオランダ人に対し、7年ごとに陸に上がり、女性と結婚して救済される道を残した。オランダ人は結婚して救われるものの、女性に逃げられて海に戻っていった。
2・劇場で「さまよえるオランダ人」の作品を見る
私は、劇場で「さまよえるオランダ人の話」に基づいた作品を見た。
作品ではオランダ人は陸に上がり、スコットランドの商人と友情を結んだ。商人に娘がいるというので結婚を申し込むと、商人から承諾を得た。
スコットランド商人の家では、娘が花婿を待っていた。娘の家には、代々伝わる「悲しげなの男の肖像画」がある。祖母によると「実際に、さまよえるオランダ人を見て描いた絵」という話だ。そしてまた、絵にまつわる警告も伝わっていた。「女性はこの人物に警戒しなければならない」と。
肖像画の掛かる部屋で花婿を待っていた娘は、オランダ人が部屋に入ると息を飲んだ。オランダ人自身も絵に驚いた。
これは、代々家に伝わる肖像画です。さまよえるオランダ人を実際に見て描いたと言われています。
船乗りの迷信だろう。…だが、もしオランダ人がいるのならば、彼は大海原でどれほどの苦痛に耐えているだろうか。彼には生と死がなく、永遠に海をさまよっているのだから。
娘は花婿の顔を真剣に見て、肖像画を見比べる。
君は私に誠実でいてくれるか?
誓いましょう。
3・劇の途中で、女性に誘われて席を立ち、劇場の外へ
劇場で作品を見ていると、背後から女の笑い声が聞こえてきた。魅惑的、享楽的な女だった。その女の誘いに乗り、劇場を抜け出した。私は過去に出会った、享楽的な女たちを思い出す。
4・劇場に戻り続きをみる。作品の結末
私は劇場に戻り、舞台の最後の結末を見た。
海岸の岸壁で娘が絶望し、船を見ていた。不気味な船の上で、オランダ人は決意していた。船から妻に叫んだ。
私はさまよえるオランダ人。愛する人を恐ろしい呪いに巻き込みたくない。
娘は船のオランダ人に向かって叫ぶ。
あなたに対する誠実さを死ぬまで守ることの出来る、確かな方法を知っています。
娘は岸壁から海に飛び込み、誠実な愛を証明した。呪いは解けてオランダ人は救済され、幽霊船は海に沈んだ。
私が考える「さまよえるオランダ人」の教訓はこうだ。
女性は、さまよえるオランダ人のような男と結婚してはいけない。
男性は、うまくいったように見えても、女性によって覆されることがある。
ワーグナーのオペラとハイネの原作を比較
オペラ | 原作 | |
物語の舞台 | ノルウェー | スコットランド |
オランダ人 | ゼンタと恋人の関係を知り、去る | 愛のために去る |
ゼンタ(娘) | 周囲に変人だと思われている女性 | 静かに話を聞く女性 |
ダーラント(父) | お金に目がない | オランダ人と友情 |
猟師 | ゼンタと恋人 | 登場しない |
作品のテーマ | 女性の犠牲による、男性の救済 | 人生訓 |
「さまよえるオランダ人」のあらすじの方でも書きましたが、オペラの舞台がノルウェーになったのは、ワーグナーが嵐に巻き込まれた経験をしたから。