フィガロの結婚 第1幕
「楽しい思い出はどこに」は、伯爵夫人の悲しみと決意のアリアです。
スザンナと服を交換して、伯爵を懲らしめる作戦を考えたものの、結婚当初の幸せだった日々を懐かしみ、今はこのような作戦をしなければいけないことに悲しみを感じています。
「伯爵夫人のアリア」E Susanna non vien – Dove sono【歌詞と対訳】
E Susanna non vien! Sono ansiosa
di saper come il Conte
accolse la proposta. Alquanto ardito
il progetto mi par, e ad uno sposo
sì vivace, e geloso!
Ma che mal c’è? Cangiando i miei vestiti
con quelli di Susanna, e i suoi co’ miei…
al favor della notte… oh cielo, a quale
umil stato fatale io son ridotta
da un consorte crudel, che dopo avermi
con un misto inaudito
d’infedeltà, di gelosia, di sdegni,
prima amata, indi offesa, e alfin tradita,
fammi or cercar da una mia serva aita!
スザンナは来ないのね!不安だわ
伯爵がどのように(提案を受け入れたのかを)知るのは
提案を受け入れたのかを。かなり大胆な
計画に思えるけれど、(嫉妬深い)夫には
あのように血気盛んで、嫉妬深い(夫に)
でも、それの何がいけないの?私の服を変えて
スザンナのものと、あの子と私のとを…
夜の恩恵を受けて…ああ、天よ、なんて
ひどく危険な状態に私は追い込まれたのでしょう。
ひどい夫のために、あの人は私を得てから
聞いたことのないほどの(不実などの)混合物で
不実と嫉妬と侮蔑の
最初は私を愛し、その後は傷つけて、最後には裏切り
今や(夫は)私に対して召使いに助けを求めさせているわ!
Dove sono i bei momenti
di dolcezza e di piacer,
dove andaro i giuramenti
di quel labbro menzogner?
Perché mai se in pianti e in pene
per me tutto si cangiò,
la memoria di quel bene
dal mio sen non trapassò?
Ah! Se almen la mia costanza
nel languire amando ognor,
mi portasse una speranza
di cangiar l’ingrato cor.
楽しかった時間はどこへ行ったのか
甘さと喜びの(時間)
誓いはどこへ行ったのか
偽りの唇が言った(誓い)?
なぜ、涙と悲しみの中で
私にはすべてが変わってしまったのに
あの幸せな思い出は
私の心の中から消えてしまわなかったの?
ああ!せめて変わらぬ私の心が
愛しながら、苦しむことで
私に希望をもたらしてくれるかもしれません
情のない人の心を変えられるという(希望を)
「伯爵夫人のアリア」の解説
オペラの話の流れを切る感じで出てくる、伯爵夫人のアリア。
なぜ唐突に出てくるようになってしまったかというと、初演で、バルトロとアントニオを同一人物が演じていたからです。(衣装替えのために時間が必要だった。)
フィガロの出自がわかる裁判(バルトロがフィガロの父だった) → 伯爵夫人のアリア → アントニオ(スザンナの親戚で、庭師)が伯爵にケルビーノがまだ軍に出発していないのを伝える
本来は、フィガロの裁判の前に伯爵夫人のアリアが入る予定でした。