ワーグナーによる、ニーベルングの指輪・第3日・神々の黄昏は、四部作の最後を締めくくる作品です。聴きどころは、間奏曲が有名です。「ジークフリートのラインへの旅・ライン騎行」「ジークフリートの葬送行進曲」に注目です。
神々の黄昏、オペラ:人物相関図
神々の黄昏、オペラ:登場人物
ジークフリート | ジークムントとジークリンデの子 | テノール |
ブリュンヒルデ | ヴォータンとエルダの娘 | ソプラノ |
ハーゲン | アルベリヒと人間の女との子、グンターの異父弟 | バス |
グンター | ギービヒ家の当主 | バリトン |
グートルーネ | グンターの妹 | ソプラノ |
アルベリヒ | ハーゲンの父、小人 | バリトン |
ヴァルトラウテ | ブリュンヒルデの妹、ヴァルキューレ | メゾソプラノ |
3人のノルン | ||
---|---|---|
第1のノルン | 運命の女神の三姉妹、エルダの娘 | アルト |
第2のノルン | メゾソプラノ | |
第3のノルン | ソプラノ |
ラインの乙女 | ||
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ヴォークリンデ | 川の妖精 | ソプラノ |
ヴェルグンデ | メゾソプラノ | |
ロースヒルデ | アルト |
- 原題:Götterdämmerung
- 言語:ドイツ語
- 作曲:リヒャルト・ワーグナー
- 台本:リヒャルト・ワーグナー
- 原作:北欧神話「ヴォルスンガ・サガ」、古代北欧歌謡集「エッダ」、ドイツ叙事詩「ニーベルンゲンの歌」他
- 初演:1876年8月17日 バイロイト祝祭劇場
- 上演時間:4時間30分(序幕・第1幕120分 第2幕70分 第3幕80分)
序幕と第1幕は切れ目なく演奏されます。
神々の黄昏、オペラ:簡単なあらすじ
ジークフリートはブリュンヒルデのもとを去り、軍人としてのキャリアを確立するために旅立とうとしている。彼はブリュンヒルデに愛の証として指輪を贈る。ブリュンヒルデは岩山に残る。
ライン河畔のギービヒの館には、ギービヒの息子グンターと娘グートルーネがいる。二人は異母兄のハーゲンを信頼している。ハーゲンはグンターにブリュンヒルデとの結婚を、グートルーネにジークフリートとの結婚をすすめる。ハーゲンはジークフリートに忘れ薬を飲ませ、たとえ他の女性を愛していても彼女のことを忘れられるようにしようと提案する。
ジークフリートはグンターとグートルーネ、ハーゲンに会う。忘れ薬を飲んだ彼は、グートルーネに一目惚れする。グンターと義兄弟になる。グンターのためにブリュンヒルデの岩山へ行く。
ジークフリートは頭巾を隠し持ったグンターに変装してブリュンヒルデのもとにやってくる。彼女はそれを拒否するが、変装したジークフリートは彼女の指輪を奪う。
ブリュンヒルデはギービヒの館に連れて行かれる。そこで彼女はジークフリートに再会するが、ジークフリートは自分が誰であるかを忘れていた。ブリュンヒルデは怒りに任せて、ジークフリートの弱点は背中だとハーゲンに告げる。彼女はハーゲンとグンターにジークフリートを倒すように勧める。二つの結婚が行われる。
男たちは狩りに出かける。ハーゲンはジークフリートの背中を刺す。ジークフリートは死ぬ。ハーゲンは人々の前で彼を殺したことを認め、指輪の権利を主張する。ブリュンヒルデはジークフリートの死体から指輪を取り、自分の指にはめる。
ブリュンヒルデは人々に命じて薪を高く積ませる。薪の中にはジークフリートの死体がある。彼女は薪の山に松明を投げ、愛馬とともに炎の中に入っていく。ライン川が溢れ出す。ラインの乙女たちは燃え盛る灰の中で指輪を手にする。同時に神々のヴァルハラ城も炎に包まれる。
神々の黄昏、オペラ:序幕のあらすじ
序奏
ヴァルキューレの岩山
夜、舞台の奥には火の粉が輝いている。黒く長いヴェールを着た背の高い女性たち、3人のノルンがいる。一人目は手前右のモミの木の下に、二人目は石のベンチに、三人目は中央の高台の岩に座っている。
第1のノルン
あそこで何が光っているの?
第3のノルン
ローゲの軍勢が岩の周りで激しく燃えているのよ。まだ夜だわ。私たちは紡いで歌わないの?
第2のノルン
紡いで歌おう。ロープは何に結ぼうか?
第1のノルンは自分の体から黄金のロープをほどき、その端をモミの木の枝に結びつける。
第1のノルン
私はかつて世界樹に織ったことがある。木陰には叡知の水が流れていた。ある時、大胆な神が泉に水を飲みに来た。彼は片方の目を永遠の代償として支払った。ヴォータンは世界樹の枝を折り、槍の柄としたのだ。長い年月の間に、折られた傷は森を痛めた。
今、世界樹にはもう織ることはできない。モミの木にロープを結ぼう。歌え、妹よ。お前に投げよう。どうなるか、知っているか?
第2のノルンがロープを取り、岩に結ぶ。
第2のノルン
ヴォータンは契約を槍に刻み、世界を支配した。大胆な勇者がその槍を二つに折った。神聖な契約を保持する槍は砕けた。そこで、ヴォータンはヴァルハラの英雄に枯れた世界樹を薪にするように命じた。木は倒れ、泉は永遠に干からびた。
今、私は尖った岩にロープを結ぶ。歌え、妹よ。お前に投げよう。どうなるかを知っているか?
第3のノルンがロープを受け取る。
第3のノルン
巨人が建てた城がそびえ立つ。神々や勇者たちと共に、ヴォータンは広間に座る。広間には薪が高く積まれている。それはかつて世界樹だった。聖なる炎は広間を焦がす。神々の終末が始まる。
まだ知っていることはある?あなたに投げるわ。
第1のノルン
夜が明けるのか?私には曇って見えない。ローゲが燃えていた頃を見ることができない。彼はどうなったのか?
第2のノルン
ヴォータンは槍でローゲを手なずけた。ローゲは自由になろうと槍の柄を歯で傷つけた。そこでヴォータンは槍の先でローゲを拘束し、ブリュンヒルデの岩を炎で囲ませた。彼がどうなったのか知っているか?
第3のノルン
ヴォータンは砕けた槍をローゲの胸に刺した。彼はローゲの燃え盛る炎を世界樹の薪の山に投げ入れた。
第1のノルン
夜が明ける。私には見えない。かつてアルベリヒはラインの黄金を盗んだ。彼はどうなったのか?
第2のノルン
岩の鋭さがロープを切りそうだ。すでにロープは編まれていない。不幸と妬みが生み出したニーベルングの指輪が邪魔をする。どうなるか知っているか?
第3のノルンが激しく引っ張ると、ロープが切れる。
第123のノルン
切れた!永遠の叡知は終わりだ。知の女神が告げることはない。降りよう。母のもとへ降りよう。
3人は消える。
間奏
夜明け。ジークフリートとブリュンヒルデが石室から姿を現す。ジークフリートは武具をつけた姿で現れ、ブリュンヒルデは馬の手綱を引いている。
新たな活躍の場へ、愛しい英雄よ。あなたを引き留めれば、愛していることにならないでしょうね?ただ一つの心配は、あなたに与えた私の価値が足りなかったのではないかということ。私は神聖なルーンや豊かな宝をあなたに与えました。私の強さである貞節をあなたは奪ったのです。今や私はあなたに従うだけです。
ルーン文字(Runen)…ゲルマン人による古い文字。
奇跡の人よ。お前は私が覚えていられないほど与えてくれた。お前の教えを覚えていなくても、怒らないでくれ。ただ一つのことは覚えている。ブリュンヒルデは私のために生きている。簡単に覚えた教訓だ。私はブリュンヒルデを忘れない。
私たちを結ぶ誓いを忘れないで。私たちが背負う忠誠を忘れないで。私たちが生きる愛を忘れないで。そうすれば、ブリュンヒルデは聖なる者としてあなたの胸に永遠に燃え続けるわ。
ブリュンヒルデはジークフリートを抱きしめる。
お前のルーンと引き換えに、この指輪を渡そう。
ジークフリートがブリュンヒルデに指輪を渡す。
指輪のお返しに、私の愛馬を連れて行って。
お前の馬の背に乗り、お前の盾で守られる。私はジークフリートではなく、ブリュンヒルデの片腕である。
神聖なる神々、気高い一族よ。祝福された二人を見よ。
ジークフリートが出発する。
間奏曲「ジークフリートのラインへの旅・ライン騎行」
Siegfrieds Rheinfahrt
Siegfried’s Journey to the Rhine
神々の黄昏、オペラ:第1幕のあらすじ
第1場
ライン河畔のギービヒの館
グンターとグートルーネが高座に座る。二人の前にテーブルがあり、その前にグンターが座っている。
グンター
教えてくれ、ハーゲン。私はギービヒの名に恥ずかしくないだろうか?
真に血筋であるあなたがうらやましいほどだよ。
グンター
うらやましいのは私の方だ。私は長男ではあるが、知恵はお前だけのものだ。異父兄弟間の争いは、これ以上ないほどよく克服された。お前の助言だけを称えよう。
助言が足りないということだな。ならば、ギービヒの当主であるあなたは宝を手に入れていない。グンターには妻がおらず、グートルーネには夫がいない。
グンターとグートルーネは黙る。
グンター
お前は私たちの名声を高めるために誰に求婚しろと助言するのか?
世界で一番輝いている女がいる。岩山の上にいて、彼女の周りは炎で囲まれている。炎を切り裂く者だけがブリュンヒルデの婚約者になれる。
グンター
私の勇気はそれに耐えられるだろうか?
より強い者にしかできないことだ。ヴェルズングのジークフリートだ。彼が最強の勇者だ。私はこの男をグートルーネの夫としたい。
グートルーネ
その人はどんなことを勇敢に行ったのですか?
ナイトヘーレ(洞窟)の前に、ニーベルングの宝を守る巨大な蛇がいた。ジークフリートは勝利の剣で彼を殺したのだ。彼は宝を手に入れ、ニーベルング族を手に入れたのだ。
グンター
ブリュンヒルデを勝ち取るのは彼だけか?
他の者には炎を退けることはできないだろう。彼にブリュンヒルデを連れてこさせればいい。グートルーネが彼を惚れさせてしまえば、あなたの要求に従うだろう。
グートルーネ
彼は世界で輝く英雄よ。すでに彼は美女に心を奪われているはずよ。
箱の中の薬を思い出せ。これはあなたの望む英雄をあなたと結びつけるだろう。ジークフリートがこの酒を飲めば、あなたの前に女を見たことも近くにいたことも忘れてしまうのだ。この計画をどう思うか?
グンター
すばらしい。彼とどうやって出会うのか?
遠くから角笛の音。
彼は功績を求めている。ギービヒの領地にも来るだろう。
再び角笛の音。ハーゲンがライン川を見に行く。
船に角笛を吹く男と馬が乗っている。川の流れに逆らって進んでいる。なんという力強さだ。彼がジークフリートに違いない。
ハーゲンは川にいるジークフリートに声を掛ける。
ホイホー!どこに行くのか?
ギービヒの勇敢な子息のもとへ。
ジークフリートは船を着ける。
私が案内しよう。ようこそ、ジークフリート。
ギービヒの息子はどなたですか?
グンター
私がそうだ。
あなたの名声を聞いた。私と戦うか、友になるか?
グンター
戦いはやめよう。歓迎する。
あなたは私の名を呼んだ。以前会ったことがあったか?
あなたの強さでわかったのだ。
ハーゲンはジークフリートの馬を連れていく。グートルーネもその場を去る。
グンター
勇者よ、父の広間に喜んで挨拶してくれ。あなたの行くところ、見るものは、すべてあなたのものだ。この土地と人々もあなたのものだ。
私には自分で鍛えた剣だけだ。あなたとの絆をこの剣に誓おう。
ハーゲンが戻ってくる。
だが、あなたはニーベルング族の宝の持ち主だと聞いた。
宝は洞窟の中に置いてきた。(ベルトにぶら下げた鉄の網細工を指して)使い方はわからないが、この網は持ってきた。
これは隠れ頭巾だ。これ以外には持ってこなかったのか?
指輪がある。今は高貴な女性が持っている。
(ブリュンヒルデ!)
ハーゲンはグートルーネの部屋に近づき、扉を開ける。グートルーネは酒を持ってくる。
グートルーネ
ギービヒ家にようこそ、お客様。
グートルーネが酒を渡す。
(小声で)たとえお前が与えたすべてを忘れても、ただ一つの教えを忘れない。最初の一杯は、忠実な愛のために。ブリュンヒルデ、お前に捧げる。
ジークフリートは一気に飲み干す。グートルーネが恥ずかしそうに目を伏せる。
美しい女性だ。彼女の名前は?
グンター
グートルーネだ。
あなたの兄に仕えようとしたが、断られた。私はあなたとの結婚を申し込めるだろうか?
グートルーネは頭を下げて部屋から出ていく。ジークフリートは彼女の後姿をずっと見ている。
グンター、あなたに妻はいますか?
グンター
心に決めた女性はいるが、まだ手に入れていない。
諦めるのか?私が味方になる。
グンター
高い岩山に彼女はいる。広間は炎に包まれて、炎を突き破るものだけが、ブリュンヒルデの求婚者になれる。
私は炎を恐れない。あなたのためにその女性を得よう。私の勇気はあなたのものだ。私はグートルーネを嫁にもらう。
グンター
どうやって彼女を騙すのか?
隠れ頭巾で、あなたの姿になる。
グンター
誓いを立てよう。
ハーゲンが杯を用意する。二人は腕を剣で傷つけ、傷口を杯にかざす。
咲き誇る生命力のある血を飲み物に入れた。
グンター
兄弟の情が混ざり合い、酒の中で私たちの血は花開く。
ジークフリートとグンター
友のため、忠誠の酒を飲もう。
グンター
兄弟の誓いを破れば。
忠実な友を欺けば。
ジークムントとグンター
今日飲んだものが、友への償いのために激しく流れるだろう。
二人は酒を飲む。ハーゲンがその杯を割る。
なぜあなたはこの誓いに加わらなかったのか?
私の血は、あなたの飲み物を台無しにする。純粋でも高貴でもない。だから、炎のような絆から離れたのだ。
グンター
陰気な男は放っておけ。
出発しよう。あそこに私の船がある。岩山まで私たちを運んでくれる。グンターは一晩船で待っていろ。それから女性を家に連れて帰ろう。
グンター
ハーゲン、お前は広間を見張れ。
ジークフリートとグンターは船に乗り、出発する。二人の様子を見て、グートルーネが出てくる。
グートルーネ
彼らは急いでどこに行くの?
ブリュンヒルデを手に入れるために出かけた。
グートルーネは部屋に戻る。船が遠ざかる。
ここに座り、見張りをする。ギービヒの息子は求婚のために出港する。彼のために船を漕ぐのは最強の勇者だ。彼は花嫁をライン川に連れてくる。私のために指輪を持ってくる。お前たちには私は卑しい存在に見えるかもしれない。だが、お前たちはニーベルングの息子である私に仕えているのだ。
「ハーゲンの見張り」Hier sitz’ ich zur Wacht:Hagen’s watch
第2場
ワルキューレの岩山
ブリュンヒルデは指輪を見ている。遠くで落雷。
馬が空を走ってくる。私を尋ねてくるのは誰?
ヴァルトラウテ
ブリュンヒルデ、お姉さん。
ヴァルトラウテ。妹よ。私に会うために父の命令を破るなんて。それともヴォータンの気持ちが和らいだのかしら?
ヴァルトラウテ
ヴォータンの命令を破ったのは別の不安があるからよ。
厳しい父を恐れているの?
ヴァルトラウテ
父を恐れるなら、私の不安は終わっていたわ。
神々に何が起こったの?
ヴァルトラウテ
父があなたと決別してから、ヴォータンは私たちを戦場に送らなかった。彼はさすらい人となり世の中をさまよった。最近、彼は帰ってきた。槍の破片を手にしていた。
父はヴァルハルの勇者たちに世界樹を伐採させた。幹を薪にして、神々の館に積み上げるように命じた。父は神々を集め、玉座に座った。父は無言で座り、槍の破片を握り、フライアのリンゴには触れようとしない。
彼は二羽のカラスを出発させた。私たちは不安と恐れで疲れ果てた。その時、父はあなたを思い出した。父は言った。彼女がラインの乙女たちに指輪を返せば、神々と世界は呪いから救われる。
私は父のもとからこっそり抜け出して、あなたのもとに来た。お姉さん。お願いです。神々の苦難を終わらせて。
あなたの言っていることがわからないわ。血の気が失せた妹よ、あなたは私に何を望むの?
ヴァルトラウテ
あなたの手に指輪がある。ヴォータンのために捨ててほしい。ラインの乙女たちに返して。
これはジークフリートの愛の証よ。
ヴァルトラウテ
その指輪には世界の災いがついている、手放しなさい。
ヴァルハルの喜びより、神々の名声より、私は指輪が大事よ。ヴァルハルに帰り、神々に伝えなさい。私は決して愛を手放さない。私から愛を奪えない。たとえヴァルハルが崩れ落ちようとも。
ヴァルトラウテが立ち去る。嵐が起こる。
雷よ、風に乗って遠くに行け。二度と来ないで。
夕暮れ。岩の炎が強くなる。
なぜ炎が荒々しくなるの?
炎の中から、隠れ頭巾を使ってグンターに化けたジークフリートが現れる。
ここまで押し入ってきたのは誰?
ブリュンヒルデ、求婚者が来たぞ。私は炎を恐れぬ男だ。
ここには最強の男しか来れないはずだ。お前は誰だ?
ギービヒの息子で、名前はグンターだ。
ヴォータン、残酷な神。今、罰の意味が分かった。私を恥辱に落としたのね。
夜が訪れる。その岩屋で私と結婚しろ。
近寄るな。指輪が私を守ってくれる。指輪が私を鋼のように強くしてくれる。お前は決して指輪を奪えない。
お前から指輪を奪えということだな。
ブリュンヒルデとジークフリートはもみ合いになる。ジークフリートはブリュンヒルデから指輪を取り上げる。
お前は私のものだ。グンターの花嫁。お前の寝室を提供しろ。
ブリュンヒルデは部屋に入っていく。ジークフリートは剣を抜く。
ノートゥング(剣)よ。目撃者になれ。義兄弟の信念を貫くために、彼の花嫁と私を引き離してくれ。
神々の黄昏、オペラ:第2幕のあらすじ
序奏
ギービヒの家の前にある川岸
深夜。ハーゲンが槍を持ったまま眠っている。アルベリヒが彼に近づく。
アルベリヒ
眠っているのか、ハーゲン、息子よ。
ハーゲンは横になったまま、目を開けているが眠っているように見える。
聞いているぞ、邪悪な小人よ。眠っている私に何を言うのか?
アルベリヒ
お前が持つ力を思い出せ。お前の母が産んだように、お前は勇敢だ。
母は私に勇気を与えたが、母はお前の企みに負けたのだから感謝はない。私は青白く、陽気な人々が嫌いだ。
アルベリヒ
陽気な連中を恨むがいい。お前には強く、勇気があり、賢い。私たちの妬みは、敵に欲望を与えている。
かつて私から指輪を奪ったヴォータンは、自分の同族に負けた。彼は不安の中で終末を見ている。私はもう彼を恐れない。
眠っているのか、ハーゲン、息子よ?
永遠の神々の力は誰が受け継ぐのか?
アルベリヒ
私と…お前だ。
ジークフリートはファーフナーを倒し、指環を手に入れた。彼はヴァルハルもニーベルハイムも手に入れた。恐れを知らぬ勇者には私の呪いは効かない。彼を破滅させることが私たちの使命だ。
眠っているのか、ハーゲン、息子よ?
彼はすでに破滅のために私に仕えている。
アルベリヒ
黄金の指輪を手に入れるのが目標だ。賢い女があいつへの愛に生きている。彼女が彼にラインの乙女に指輪を返せと言えば、黄金は私の手から消え去ってしまう。迷わず指輪をねらえ。指輪を手に入れて、私の仇を討て。
誓ってくれるか、ハーゲン、息子よ。
私が指輪を持つことになる。安心して待て。
夜が明けて、アルベリヒが消える。ハーゲンはライン川を見ている。ジークフリートが岸辺の茂みから現れる。
ホイホー、ハーゲン。疲れ果てた男よ。
ジークフリート!勇者よ、どこから戻ってきたのか?
ブリュンヒルデの岩山からだ。二人は後から戻ってくる。グートルーネは起きているか?
ホイホー、グートルーネ。ジークフリートが戻ったぞ。
グートルーネが屋敷から出てくる。
喜んで迎えてくれ、ギービヒの娘よ。お前は私の妻だ。
グートルーネ
ブリュンヒルデは私の兄に従っているのね。
彼の求婚はうまくいった。隠れ頭巾のおかげで、私はグンターになりすました。ブリュンヒルデは新婚の夜に、夫の言うことを聞いたよ。
グートルーネ
でも、あなたが彼女の夫だったのでしょう?
ジークフリートはグートルーネと一緒だった。ブリュンヒルデは彼に近いようで、遠かったのだ。
グートルーネ
グンターはあなたから彼女をどうやって受け取ったの?
朝に、彼女を連れて岩山を降りた。岸辺で彼と入れ替わった。強い風が恋人たちを運んでくる。歓迎の準備をしよう。
遠くに帆が見えるぞ。
グートルーネ
花嫁を優しく迎えましょう。ハーゲン、兵士たちをギービヒの婚礼のために集めなさい。したたかな勇者よ、休みませんか?
ジークムントとグートルーネが屋敷に入る。ハーゲンは角笛を鳴らす。
ホイホー、ギービヒの家の者よ。集合だ。武器を持て。強い武器を持て。危機だ。災いだ。
武装した兵士たちが集まってくる。
男たち
武器を持ってやってきたぞ。どんな危険が迫っているのか?ホイホー、ハーゲン。
グンターが妻を迎えたのだ。彼は女性を連れて帰る。婚礼のために獣や酒を準備してくれ。
男たち
大きな幸せがラインに笑いかける。厳めしいハーゲンがこんなに陽気なのだから。
女主人に優しくしろ。彼女が悲しみに襲われれば、すぐに仇を取れ。
ブリュンヒルデとグンターが到着する。ブリュンヒルデは顔面蒼白でうつむいている。
男たち
万歳、グンター。万歳、花嫁。
グンター
高貴なブリュンヒルデをお前たちのもとに連れてきた。ギービヒ家は神の恩恵を受けてきたが、さらに名声が高まるだろう。
屋敷からジークフリートとグートルーネが出てくる。
グンター
勇者よ、優しい妹よ。ここに二組の夫婦が輝いている。ブリュンヒルデとグンター。グートルーネとジークフリート。
うつむいていたブリュンヒルデが顔を上げる。彼女は動揺して、ジークフリートのほうに一歩歩み出る。周りの人々は異変に気が付いて戸惑う。
ジークフリートがここに?グートルーネとは?
彼女はグンターの妹だ。私たちは結婚する。
ブリュンヒルデは倒れそうになり、ジークフリートが支える。
本当に私がわからないの?
お前の夫はあそこにいる。
ジークフリートがグンターを指差すと、ブリュンヒルデはジークフリートの指輪に気が付く。
あなたの手に指輪が見えた。これはあなたのものではない。これを私から奪ったのは、グンターだ。どうやって彼から指輪を手に入れたの?
この指輪は彼からもらったものではない。
(グンターに)あなたが私から指輪を奪ったから結婚したのよ。結婚の証を返せと命じなさい。
グンター
指輪?私は彼に何も与えていない。
わかったわ。私から指輪を奪ったのはこの男だ。ジークフリート。
女から指輪を奪っていない。私はナイトヘーレの大蛇を倒して、指環を得た。
ブリュンヒルデ、勇ましい女。この指輪はお前からグンターに与えたものなのか?それならば、ジークフリートは盗んだことになる。
裏切りだわ。
グートルーネ
裏切り?誰の?
神聖なる神々よ、あなた方はこのようなことを決めたのですか?かつてないほどの苦しみを与えるのですか?恥を与えるのですか?
グンター
ブリュンヒルデ、落ち着いて。
近寄らないで。あなたも彼に裏切られているのよ。
私はグンターに誓った。剣が二人を隔ててくれた。
その剣をよく知っているが、その鞘もよく知っている。ノートゥングの剣は、主人が求愛している時に壁にあったわ。
その場にいた人々は、ジークフリートに憤りの目を向ける。
グンター
お前が言い返さなければ、私はさらに恥をかく。
グートルーネ
ごまかそうとしているの?偽りだと証明して。
誓いを立てる。誰か誓いを立てるための武器をくれないか?
私の槍先を渡そう。
男たちが、ジークフリートとハーゲンを取り囲む。ジークフリートがハーゲンの槍先に右手の指二本をつける。
輝く武器、聖なる武器よ。彼女の言葉が真実ならば、私を傷つけよ。私を殺せ。
「輝く武器、聖なる武器」Helle Wehr! Heilige Waffe!
ブリュンヒルデが輪に入って、槍先を掴む。
輝く武器、聖なる武器よ。彼を刺せるようにあなたの鋭さを祝福する。彼はすべての誓いを破り、今は偽りの誓いを行った。
(グンターに)お前の妻を黙らせろ。隠れ頭巾は私の半分しか隠せなかったようだ。すぐに女の怒りは収まるだろう。
(人々に)男たちよ、宴に行こう。女たちよ、結婚の祝宴を手伝ってくれ。
ジークフリートはグートルーネを連れて屋敷に入る。集まった人々も彼らに続く。残ったのは、ブリュンヒルデ、ハーゲン、グンター。
ここにはどんな魔物の狡猾さが隠されているのか?この混乱の中で、私の知恵はどこに行ったのか?私の知恵はすべて彼に与えてしまった。彼は力で私の貞節を手に入れ、笑いながら手放したのだ。
私を信じろ。騙された女よ。お前を裏切った男に復讐してやる。
ブリュンヒルデは苦笑いする。
私は彼が無傷でいるように術をかけた。それが彼を守っている。
どんな武器も無理なのか?
まともに戦っては無理だ。だが、彼の背中なら。彼は敵から逃げることがなく、後姿を見せなかった。だから、私は背中に術をかけていない。
そこを私の槍で突くのだ。
ハーゲンは落ち込むグンターに声を掛ける。
グンター、高貴なギービヒ!ここにはお前の妻がいる。なぜうなだれるのか?
グンター
恥だ。不名誉だ。
卑怯な男。勇者に隠れて、名声を得ようとした。
グンター
私は騙したが、騙されもした。裏切ったが、裏切られもした。ハーゲン、私の名声を救ってくれ。
お前を救うのは、ジークフリートの死だ。彼はお前を裏切った。
グンター
私は裏切られたのか?
彼はあなたを裏切った。あなたたちは私を裏切った。あなたが私に償うには、彼を倒すしかない。
ハーゲンはグンターに小声で話す。
お前の救いのために彼を倒せ。彼から指輪を得られれば、信じられないような力を手に入れられる。彼の死によって、奪い取れる。
グンター
ブリュンヒルデの指輪?
ニーベルングの指輪だ。
グンター
だが、グートルーネはどうするのだ?
はっきりとわかった。グートルーネが夫を奪った魔法だった。恐怖が彼女を襲えばいい。
グートルーネには秘密にすればいい。明日はみんなで狩りに出かけよう。彼はイノシシに殺されたことにすればいい。
ブリュンヒルデとグンター
それがいい、ジークフリートを倒せ。私に与えた恥を償わせよう。ヴォータン。神聖な軍勢に、復讐の誓いを聞けと命令せよ。
指輪は私のものだ。アルベリヒ、ニーベルングの王よ。ニーベルングの軍勢に、指輪の持ち主に従えと命令せよ。
三人が広間に向かおうとする。ジークフリートとグートルーネの結婚の行列が現れる。
神々の黄昏、オペラ:第3幕のあらすじ
第1場
序奏
ライン河畔
ラインの乙女たちが泳いでいる。
3人のラインの乙女たち
太陽は明るい日を放つのに、川底は暗い。ラインの黄金よ。お前は明るく光っていた。太陽よ、勇者を私たちのもとへ連れてきて。彼には私たちに黄金を返してほしい。そうすれば、太陽を羨むことはないわ。
角笛の音だわ。勇者が近づく。
3人は川に潜る。ジークフリートが現れる。
小人が私を迷わせて、獣の足跡を見失ってしまった。
ラインの乙女は水面に浮かび上がって、ジークフリートに話しかける。
3人のラインの乙女たち
ジークフリート、どの小人に怒っているの?
お前たちが小人を誘惑して隠したのかい?
3人のラインの乙女たち
あなたに獲物を返したら、私たちに何かくれる?
まだ獲物が獲れていない。何が欲しいか言ってくれ。
3人のラインの乙女たち
あなたの黄金の指輪をください。
指輪のために大蛇を退治した。熊とは交換しないよ。
3人のラインの乙女たち
なんて残念。あなたはケチね。
ラインの乙女たちは川に潜る。
からかわれてムカつくな。もう一度彼女たちが現れたら、指輪をあげてもいい。おい!水の精!指輪をあげよう。
3人のラインの乙女たち
指輪を持っていなさい。あなたに災難が起こるまで、大事にしなさい。指輪は災いをもたらす。かつてあなたが大蛇を倒したように、今日、あなたも倒されるわ。
お前たちに脅されても、私は怯えない。確かに大蛇は呪いを警告した。だが、彼が私に恐れを教えられなかった。
お前たちが快楽を与えるなら、指輪を渡す。だが、私の体と命を脅すなら、指輪に価値がなくても渡さない。
ジークフリートは土を拾い頭上に掲げて、背後に投げつける。
このように、私は命と体を放ってしまう。
3人のラインの乙女たち
愚か者から去りましょう。彼は誓いを立てたけど、守らない。ルーンを教えられたけど、使えない。高貴な宝(ブリュンヒルデ)を与えられたのに、それを投げ捨てても自覚がない。自分に死をもたらす指輪だけを持っている。
さようなら、ジークフリート。高貴な女性があなたの財産を引き継ぐ。彼女のもとに行きましょう。
ラインの乙女は遠くに去る。
グートルーネに貞節を欺かないならば、乙女の一人を口説いていたのに。
ハーゲン、グンター、数人の男たちが高台に姿を見せ、ジークフリートに呼びかける。
やっと見つけたぞ。
下りてこい。ここは涼しいぞ。
みんなが川辺に下りる。
食事にしよう。あなたはどんな獲物を捕まえたのか?
森の獣を捕らえようとしたのに、見つけたのは鳥ばかりだった。鳥はライン川の上で歌っていた。私が今日殺されるとね。
グンターは真っ青になる。
噂で聞いたが、あなたは鳥のさえずりがわかるそうだな。
最近は鳥のさえずりに注意を払っていないがな。さあ、グンター。酒を飲もう。
ジークフリートはグンターの杯から自分の杯に酒を入れて地面にこぼす。
グンター。暗い顔をしているな。私の若い頃の話をしよう
みんながジークフリートを囲む。
ミーメという不機嫌なこびとがいた。彼は野望のために私を育てた。私は割れた破片を剣にした。ミーメは私を森に連れて行き、私は大蛇を倒した。大蛇の血がついた指をなめると、鳥の声がわかるようになった。鳥は歌った。「隠れ頭巾を手に入れれば、役に立つ。指輪を手に入れれば、世界の王になれる。」
あなたは指輪も隠れ頭巾も手にしたのだな。
指輪と隠れ頭巾を手に入れると、鳥は歌った。ミーメを信用しないで。
鳥の知らせは正しかったのか?
ミーメはノートゥングの切れ味を知った。
ハーゲンは杯に薬を入れて、ジークフリートに渡す。
私の杯をどうぞ。あなたの記憶がはっきりするように薬を入れた。
ジークフリートはそれを飲む。
鳥は歌った。「あなたに高貴な女性を教えよう。彼女は岩山の上で炎に囲まれて眠っている。炎を通り、彼女を目覚めさせれば、ブリュンヒルデはあなたのものになる。」
鳥の忠告に従ったのか?
岩山に上り、炎を通り、輝く彼女を見つけた。私の口づけで彼女を目覚めさせた。
グンター
何ということだ!
二羽のカラスが飛び立つ。ジークフリートはカラスを見送る。
二羽のカラス…ヴォータンの使い
お前はカラスの声がわかったか?彼らは私に復讐しろと告げている。
ハーゲンがジークフリートの背中に槍を刺す。
偽誓を罰した!
ハーゲンは去る。グンターや男たちはジークフリートの側にいる。
ブリュンヒルデ、聖なる花嫁。目覚めてくれ。お前を目覚めさせる男が来たぞ。私は口づけで目覚めさせる。ブリュンヒルデが私に挨拶する!
「ブリュンヒルデ、聖なる花嫁」Brünnhilde! Heilige Braut!
ジークフリートの死。グンターが無言の合図を出す。男たちがジークフリートを盾に乗せて運ぶ。
間奏曲「ジークフリートの葬送行進曲」
Siegfrieds Trauermarsch
Siegfried’s Funeral March
第2場
ギーヒヒの家
夜、月がライン川に光る。
グートルーネ
あれは彼の角笛かしら?違うわ。彼はまだ帰ってこない。不吉な夢が私の眠りの邪魔をした。ブリュンヒルデの笑い声で私は目覚めた。岸辺に歩いていく女は誰だったの?
ブリュンヒルデが怖い。彼女は起きているのかしら?彼女は部屋にはいない。ジークフリートに会いたい。
ハーゲンの声が聞こえてくる。
ハーゲンの声
ホイホー、起きろ!グートルーネ。ジークフリートに挨拶しろ。
グートルーネ
何が起きたの?彼の角笛は聞こえなかった。
松明をかざした人々がジークフリートの遺体を掲げて現れる。グンターとハーゲンが続いて入る。
もはや勇者は角笛を吹かない。狩りもしない。
グートルーネ
彼らは何を運んできたの?
獣に倒されたジークフリートだ。
グートルーネは叫んで気絶する。グンターは駆け寄って妹を介抱する。グートルーネが意識を取り戻す。
グートルーネ
お兄さんが彼を殺したのね!
グンター
ハーゲンをののしれ。
そうだ。私が彼を殺した。彼はこの槍にニセの誓いをした。神聖な獲物(ジークフリート)の権利は私に移った。だから私は指輪を要求する。
グンター
グートルーネが相続するものに触るな。恥ずべき小人の息子め。
アルベリヒの息子が要求する。指輪を渡せ。
ハーゲンとグンターが剣を持って戦う。グンターが死ぬ。ハーゲンがジークフリートの手を掴もうとする。ジークフリートのの遺体の手が、ハーゲンを脅すように持ち上がる。部屋の奥から、ブリュンヒルデが現れる。
大声で嘆くのはやめなさい。私は復讐のために進みます。
グートルーネ
この苦悩はあなたがもたらした。あなたが男たちを夫にけしかけたのね。
黙りなさい。あなたが彼の妻だったことはない。ジークフリートがあなたに出会う前から、彼は永遠の誓いを立てた。
グートルーネ
呪わしいハーゲン。あなたがあの薬を勧めたのよ。ブリュンヒルデは、彼が薬で忘れた女だったのね。
彼女はグンターの遺体の側に倒れ込む。グートルーネは死ぬ。ハーゲンは黙って立っている。ブリュンヒルデが広間にいる男女に声を掛ける。
大きな薪をラインの岸辺に積み上げなさい。それが勇者の肉体を明るく燃やす。ジークフリートの愛馬を連れてきなさい。ブリュンヒルデの言葉を実行しなさい。
「大きな薪を積み上げよ」Starke Scheite schichtet mir dort
若い男たちが岸辺に薪の山を作る。女たちがそれを布で覆い、薬草や花を撒く。ブリュンヒルデはジークフリートの側にいる。
太陽のような彼の光が私に注がれる。純粋だった彼は私を裏切った。妻を裏切り、友に誠実だった。彼は誓いを守り、愛に誠実だった。だが、彼は誓いも愛もあざむいた。
ブリュンヒルデは空を見上げる。
神々よ。彼の功績はあなたが望んだものだ。彼はあなたの呪いの犠牲になった。私が知恵を取り戻すために、彼の裏切りは必要だった。私はすべてを知っている。あなたのカラスの声も聞こえる。
ブリュンヒルデは、ジークフリートから指輪を抜き取る。
私は受け継ぐものを手にした。呪われた指輪よ。黄金を手にして、手放すのだ。ラインの乙女たちよ、助言をありがとう。私が焼けた灰から持っていきなさい。
彼女は指輪をはめて、男から松明をもらう。
飛び帰れ、カラスたち。お前たちの主人に伝えなさい。あなたたちがブリュンヒルデの岩山を通るとき、燃えるローゲをヴァルハルに向かわせなさい。神々の終末が始まる。こうして、私はヴァルハルの城に松明を投げる。
「飛び帰れ、カラスたち」Fliegt heim, ihr Raben!
ブリュンヒルデは、松明を薪に投げる。二羽のカラスが飛び立つ。愛馬がやってくる。
愛馬よ。ごきげんよう。私の友よ、これからどこに向かうかわかるわね。炎の中で勇者が光りながら、横たわっている。ジークフリート!あなたの妻が挨拶を送ります。
彼女は馬に乗って炎に飛び込む。炎は激しく燃えて、すぐに消える。ライン川があふれて、燃えた場所まで広がる。ラインの乙女たちが泳いでくる。ハーゲンは水に飛び込む。
指輪から下がれ。
2人のラインの乙女がハーゲンを水中に引きずり込む。1人のラインの乙女は、指輪を高くかざす。空が明るくなる。空にはヴァルハルの大広間が見える。神々の広間に火柱が上がる。神々は炎に包まれる。