ドン・ジョヴァンニ 第2幕
ドン・ジョヴァンニの悪行を知って、オッターヴィオがエルヴィラ、ツェルリーナ、マゼットに言います。
Amici miei, dopo eccessi sì enormi,
dubitar non possiam che Don Giovanni
non sia l’empio uccisore
del padre di Donn’Anna; in questa casa
per poche ore fermatevi, un ricorso
vo’far a chi si deve, e in pochi istanti
vendicarvi prometto.
Così vuole dover, pietade, affetto!
私の友人たちよ、このようなひどい行いの後では
ドン・ジョヴァンニを疑うしかありません。
邪悪な殺人者だと
ドンナ・アンナの父上の。家の中に
しばらく留まってください。訴えを
必要な人に申し立てします。瞬く間に
あなたたちの復讐をすることを約束します。
義務と信仰心と愛情がそのように求めているのです!
すでに立ち去った自分の恋人のドンナ・アンナを慰めて欲しいという「私の恋人を慰めて」というアリアです。
「私の恋人を慰めて」Il mio tesoro intanto【歌詞と対訳】
Il mio tesoro intanto
Andate a consolar,
E del bel ciglio il pianto
Cercate di asciugar.
Ditele che i suoi torti
A cendicar io vado;
Che sol di stragi e morti
Nunzio vogl’io tornar.
私の愛しい人を
慰めに行ってください
そして、あの美しいまつげの涙を
乾かしてあげてください
あの人に伝えてください。あの男の不正に
復讐に行くと。
殺戮と死の
使者だけになって戻りたいと。
【解説】オッターヴィオは、ジョヴァンニとは真逆の人物
オッターヴィオは、道徳的で行動しない人物として描かれています。ジョヴァンニと同じ貴族ですが、真逆の存在です。
オッターヴィオ …道徳的で行動しない 魅力がない
ジョヴァンニ …破天荒で行動的 魅力がある
勇ましいけれど、裁判官に訴えただけ
Leporello, Donna Elvira, Donn’Anna, Zerlina, Don Ottavio, Masetto, con ministri di giustizia.
ministri 役人、官僚
giustizia 司法、法律、正義
最終幕で、法律の役人たちを連れてジョヴァンニ邸を訪れます。ですが、ジョヴァンニは地獄に落ちた後でした。
Or che tutti, o mio tesoro,
Vendicati siam dal cielo,
Porgi, porgi a me un ristoro,
Non mi far languire ancor.
今やすべてを、私の愛しい人よ
天が復讐してくれたのです
与えて下さい。私に慰めを与えて下さい。
私を二度と苦しめないで下さい。
Lascia, o caro, un anno ancora
Allo sfogo del mio cor.
待って下さい。愛しい人よ、もう一年
私の心がおさまるまで
オペラを通してアンナの対応を考えると、1年後でもふたりの関係は進まないだろうなという印象です。