オルフェオ 第3幕
モンテヴェルディのオペラ「オルフェオ」のPossente Spirtoは、オルフェオが冥界の入り口で使者の魂を運ぶカロンテに冥界へ通してもらえるように祈る歌です。
「力強い霊、恐るべき神よ」Possente Spirto【歌詞と対訳】
Possente spirto, e formidabil nume,
Senza cui far passaggio a l’altra riva
Alma da corpo sciolta invan presume,
Non vivo io, no, che poi di vita è priva
Mia cara sposa, il cor non è più meco,
E senza cor com’esser può ch’io viva?
強大な精霊、そして手強い神よ。
向こう岸に行くには、あなたなくしては
体がから離れた魂は無駄であろう。
私は生きていない、(花嫁が)生命を奪われてから
愛しい花嫁、その心はもはや私と共にない。
心なしでどうやって生きていけばよいのか?
A lei volt’ho il cammin per l’aer cieco,
A l’inferno non già, ch’ovunque stassi
Tanta bellezza il paradiso ha seco.
Orfeo son io, che d’Euridice i passi
Segue per queste tenebrose arene,
Ove già mai per uom mortal non vassi.
彼女に向かって、私は暗闇の空気の中を行く。
まだ地獄には行っていない。
そのような美しさがある場所は楽園だからだ。
私はオルフェオ、エウリディーチェの足跡をたどり
この暗い場所を進んでいく。
人間がかつて行ったことのない場所へ。
O de le luci mie luci serene,
S’un vostro sguardo può tornarmi in vita,
Ahi, chi niega il conforto a le mie pene?
Sol tu, nobile Dio, puoi darmi aita,
Né temer dei, ché sopra un’aurea cetra
Sol di corde soavi armo le dita
Contra cui rigida alma invan s’impetra.
私の目の穏やかな灯火よ。
あなたの視線が私を生き返らせるのなら。
ああ、誰が私の悲しみに慰めを与えないのか。
崇高な神よ、あなただけが私に助けを与えられます。
神々を恐れず、黄金のチェトラで
甘い弦だけで私の指を武装して
強固な魂がむなしく祈りを捧げるのです。
cetra…撥弦楽器。チェトラ(伊)、シターン(英)