愛の妙薬 第1幕
のどかな農村。木陰で本を読む、農場主の娘アディーナ。その姿に見とれている、農夫のネモリーノは彼女に夢中。恋する気持ちを歌う、「なんと彼女は美しい」というネモリーノのアリア。
「なんと彼女は美しい」Quanto è bella, quanto è cara【歌詞と対訳】
Quanto è bella, quanto è cara!
Più la vedo e più mi piace …
ma in quel cor non son capace
lieve affetto d’inspirar.
Essa legge, studia, impara …
non vi ha cosa ad essa ignota …
Io son sempre un idïota,
io non so che sospirar.
Chi la mente mi rischiara?
Chi m’insegna a farmi amar?
何て美しくて、かわいい!
見れば見るほど好きになる
だけど彼女の心に、僕は何も出来ない
わずかな愛情を呼び起こすことも
彼女は本を読んで、勉強し、学ぶ
知らないことは何もない
僕はいつも愚か者で
ため息つくことしかできない
誰か僕の頭を賢くしてくれないかな?
彼女に愛される方法を教えてくれないかな?
「なんと彼女は美しい」Quanto è bella, quanto è caraの解説
Quanto è bella, quanto è cara!
Più la vedo e più mi piace …
なんてかわいい、なんて素敵だ!
見れば見るほど、好きになる
più ~ più・・・ ~すればするほど・・・
アディーナが何をしても「かわいい」と言ってくれそうな勢い。
自力でなくて、他力で・・・これから騙される前振り?
Chi la mente mi rischiara?
Chi m’insegna a farmi amar?
誰か僕の頭を賢くしてくれないかな?
誰か彼女に愛されるには(どうしたらいいのか)教えてくれないかな?
rischiara 明るくする
誰かに愛される方法を教えて欲しいと思っているから、薬売りから「愛の妙薬」(安ワイン)を買ってしまうのですね。しかも二本も。
一本目…全財産で支払い
二本目…軍に入ることでお金を作る
オペラを通して、ネモリーノは「バカなんじゃ…」という行動を取ります。その行動の中心に「恋心と他力本願」が歌われる「なんと彼女は美しい」のアリアがあります。
恋愛の主導権を握れたのは「愛の妙薬が本物だ」と信じたから
騙されて安ワインを買うのですが、ネモリーノは本物の「愛の妙薬」と信じています。信じているから、普段は出来ない行動をアディーナに対して取ることが出来ました。
・ つれなくする、無関心を装う
・ アディーナから告白されるまでは、冷静に
アディーナが元々ネモリーノに好意を持っていたのもあって、騙されたとしてもハッピーエンドにつながります。