セビリアの理髪師 第1幕
セビリアの理髪師は、伯爵・フィガロ(ロジーナ)チームとバルトロ・音楽教師チームが戦う話です。悪人側のバルトロと音楽教師のバジリオが作戦を練っている中で歌われます。音楽教師バジリオの歌。
「陰口はそよ風のように」は、オーバーな言葉選びとクレッシェンド多めの過剰な音楽が面白いです。そして、音楽用語も多く出てきます。太文字の所です。
「陰口はそよ風のように」La calunnia è un venticello【歌詞と対訳】
La calunnia è un venticello,
un’auretta assai gentile
che insensibile, sottile,
leggermente, dolcemente,
incomincia a sussurrar.
Piano piano, terra terra,
sottovoce, sibilando,
va scorrendo, va ronzando;
nelle orecchie della gente
s’introduce destramente,
e le teste ed i cervelli
fa stordire e fa gonfiar.
陰口は、そよ風と同じように
弱い風で吹いて、とても穏やかに
わからないほど、かすかに
軽やかに、優しげに
ささやくように始まります。
ゆっくり、じっくり
ひそひそ、しゅーしゅー
流れて、賑やかになります。
人々の耳に
たくみに紹介され、
頭と脳に
めまいやしびれを起こさせるのです。
Dalla bocca fuori uscendo
lo schiamazzo va crescendo,
prende forza
a poco a poco,
vola già di loco in loco;
sembra il tuono, la tempesta
che nel sen della foresta
va fischiando, brontolando
e ti fa d’orror gelar.
口から出てくると
音が大きくなり、
力を持ち、
少しずつ
次から次へと飛んでいきます。
雷や嵐のようになっていて
森林の奥深く、
ビューと風がなり、ゴロゴロと雷が鳴り
人を恐怖で凍らせます。
Alla fin trabocca e scoppia,
si propaga, si raddoppia
e produce un’esplosione
come un colpo di cannone,
un tremuoto, un temporale,
un tumulto generale,
che fa l’aria rimbombar.
E il meschino calunniato,
avvilito, calpestato,
sotto il pubblico flagello
per gran sorte va a crepar.
結局、それはふれ出て、破裂します。
広がり、倍増して
爆発を起こします。
大砲を撃つみたいに
地震のように、嵐のように
騒動のように
空気を揺らすのです。
そして、些細な人は、
落胆し、踏みにじられて
公共の場で非難され
宿命的に死ぬのです。
「陰口はそよ風のように」La calunnia è un venticelloの解説
実は、音楽用語が歌詞にたくさん入っています。
assai | アッサイ | 非常に |
gentile | ジェンティーレ | 穏やかに |
leggermente | レッジェールメンテ | 軽く |
dolcemente | ドルチェメンテ | 甘く柔らかに |
piano | ピアーノ | 弱く |
sotto voce | ソット ヴォーチェ | ささやくように |
scorrendo | スコレンド | 流れるように |
poco | ポコ | 少し |
loco | ロコ | もとの位置で |
tempesta | テンペスタ | 嵐 |
見逃しているかもしれませんが、まとめるとこんな感じ。遊び心がいいですね。歌詞は「陰口はこのように広まるぞ」というもの。バスが歌うので迫力がありつつ、仰々しい感じに面白みがあります。