イル・トロヴァトーレ 第2幕
鍛冶屋の合唱に続いて歌われるのが、アズチェーナの「炎は燃えて」です。火あぶりの光景が目に浮かぶような音楽と歌詞で、イル・トロヴァトーレの中でも注目度の高い歌です。
「炎は燃えて」Stride la vampa【歌詞と対訳】
Stride la vampa! – la folla indomita
Corre a quel fuoco – lieta in sembianza;
Urli di gioia – intorno echeggiano:
Cinta di sgherri – donna s’avanza!
Sinistra splende – sui volti orribili
La tetra fiamma – che s’alza al ciel!
炎はうなり声をあげるー不作法な人々は
炎に向かって走るー楽しげな表情で
喜びの声を上げーあたりにこだまする
役人に囲まれてー女が進み出る
照らしているー人々の恐ろしい顔を
陰気な炎ーそれは天まで燃え上がる
Stride la vampa! – giunge la vittima
Nerovestita, – discinta e scalza!
Grido feroce – di morte levasi;
L’eco il ripete – di balza in balza!
Sinistra splende – sui volti orribili
La tetra fiamma – che s’alza al ciel!
炎はうなり声を上げるー犠牲者は現れる
黒い服でー着崩れて、裸足だ
激しい叫びー死を迎える(叫び)
こだまして繰り返すー崖から崖へと
照らしているー人々の恐ろしい顔を
陰気な炎ーそれは天まで燃え上がる
【解説】「炎は燃えて」というより「火炎はうなり声をあげて」
Stride la vampa!
vampa 火炎、熱風
stride(stridere)音をたてる、叫び声をあげる
「炎は燃えて」というより「火炎が音を立てて」と訳すことができ、強い意味が込められています。
アズチェーナ親子より、伯爵邸の警備のほうが問題
- アズチェーナの母は、赤ん坊のマンリーコの部屋に入れた
- アズチェーナは、赤ん坊のマンリーコを誘拐できた
「呪いをかけたと疑われたアズチェーナの母より、不審人物がやすやすと屋敷に入れたことの方が問題では?」と思うのは、私が現代人だからなのかな。ジプシーの呪いより、屋敷の防犯に気を配った方がいい。