イル・トロヴァトーレ 第1幕
レオノーラのマンリーコに対する熱烈な愛がわかる、カヴァティーナ「穏やかな夜」とカバレッタ「この愛は言葉で言い表せない」です。
「穏やかな夜」Tacea la notte placida【歌詞と対訳】
Tacea la notte placida
e bella in ciel sereno
La luna il viso argenteo
Mostrava lieto e pieno…
Quando suonar per l’aere,
Infino allor sì muto,
Dolci s’udiro e flebili
Gli accordi d’un liuto,
E versi melanconici
Un Trovator cantò.
穏やかな夜で静かだったわ
澄んだ空に美しく、
月は銀色で
幸せな笑みを浮かべていたわ。
それ(音)があたりに鳴り響いたの
それまでは静かだったところに
甘くてかすかな音が聞こえてきたわ。
リュートの音楽と
哀愁のある歌声を
一人の吟遊詩人が歌っていたのよ。
Versi di prece ed umile
Qual d’uom che prega Iddio
In quella ripeteasi
Un nome… il nome mio!…
Corsi al veron sollecita…
Egli era! egli era desso!…
Gioia provai che agli angeli
Solo è provar concesso!…
Al core, al guardo estatico
La terra un ciel sembrò.
祈りと謙虚さのある詩で
神に祈りをささげている人のようだったわ。
彼が繰り返し歌ったのは、
名前、私の名前!
私は急いでバルコニーに駆け寄ってみると
彼がいたの!あの彼だった。
天使だけが持つ喜びを感じたのよ。
彼らだけに認められた喜びを。
私の心には、私の恍惚とした瞳には
この地上が天国のように感じられたわ。
ここの間に、レオノーラと侍女の短い会話が入ります。
Di tale amor che dirsi
Mal può dalla parola,
D’amor che intendo io sola,
Il cor s’inebriò! Il mio destino compiersi
Non può che a lui dappresso…
S’io non vivrò per esso,
Per esso io morirò!
この愛は
言葉では言い表すことのできない。
私だけが理解できる愛よ
私の心は酔いしれたわ。 私の運命は決まったの。
彼としか満たされない。
彼のために生きられないのであれば、
私は彼のために死ぬでしょう。
【解説】レオノーラは、恋の相手をマンリーコと決めている
Di tale amor che dirsi Mal può dalla parola,
D’amor che intendo io sola,Il cor s’inebriò!
言葉では表現できないほどの愛、
私だけが理解できる愛、私の心は酔いしれたわ。
Il mio destino compiersi Non può che a lui dappresso…
S’io non vivrò per esso,Per esso io morirò!
私の運命は彼によって満たされるのよ。
彼のために生きられないのならば、彼のために死ぬでしょう。
per esso 彼のために
「彼のために生きられなければ、彼のために死ぬ」と最後の歌詞は、イル・トロヴァトーレのこの先の流れを暗示しています。