「メリー・ウィドウ」は、フランツ・レハールが作曲したオペレッタです。レハールの一番の成功作品です。見どころは、ヴィリアの歌、メリー・ウィドウ・ワルツなどがあります。
メリー・ウィドウ、オペレッタ:人物相関図
メリー・ウィドウ、オペレッタ:登場人物
ハンナ・グラヴァリ | ポンテヴェドロの富豪の未亡人 | ソプラノ |
ダニロ・ダニロヴィチ伯爵 | ポンテヴェドロの書記官 | テノール |
ヴァランシエンヌ | ツェータ男爵の妻 | ソプラノ |
ミルコ・ツェータ男爵 | ポンテヴェドロの公使 | バリトン |
カミーユ・ド・ロシヨン | フランス人、ヴァランシエンヌの愛人 | テノール |
ニェーグシュ | ポンテヴェドロの書記官 | 台詞のみ |
クロモウ | ポンテヴェドロの参事官 | バリトン |
ボグダノビッチ | ポンテヴェドロの領事 | バリトン |
カスカーダ子爵 | ラテン系の外交官 | バリトン |
ラウール・ド・サンブリオシュ | フランス人外交官 | テノール |
- 原題:Die lustige Witwe(ドイツ語)
- 言語:ドイツ語
- 作曲:フランツ・レハール
- 台本:ヴィクトル・レオン、レオ・シュタイン
- 原作:アンリ・メイヤックの喜劇「公使館随行員」
- 初演:1905年12月30日 アン・デア・ウィーン劇場
- 上演時間:2時間20分(第1幕50分 第2幕60分 第3幕30分)
The Merry Widow(英語)陽気な未亡人
メリー・ウィドウ、オペレッタ:簡単なあらすじ
ハンナ・グラヴァリは大富豪の財産を受け継いだ未亡人。ハンナが他国の男と再婚すれば、彼女の財産はその男のものになる。そこでツェータ男爵は、彼女に自国の男性、特にダニロ伯爵と再婚してほしいと思っている。
ハンナは大富豪と結婚する前、ダニロ伯爵と恋人関係にあったが、彼の伯父の反対で別れていた。ダニロは今でもハンナのことが好きだ。金の亡者にはなりたくないという思いから、頑なになっている。
ハンナとダニロがささいな喧嘩をしている間、ヴァランシエンヌはカミーユと不倫している。ハンナとダニロの恋愛はうまくいく。ヴァランシエンヌとカミーユの関係はうまく誤魔化される。
メリー・ウィドウ、オペレッタ:第1幕のあらすじ
パリの公使館
ポンテヴェドロ(架空の国)のフランス公使館。着飾った紳士淑女が集まっている。
カスカーダ子爵
紳士淑女の皆さん。感謝を込めてホストを祝福するのは、客人の務めです。男爵にお礼申し上げましょう!
今宵、皆様から喝采を浴びるのは、ホストとしてだけでなく、使者としても誇らしいことです。
全員で乾杯をする。ツェータ男爵の妻、ヴァランシエンヌが、カミーユにこっそり近づき会話する。
あなたに話したいことがあるのよ。私の扇子になんて書いたの?
あなたが僕に言うのを禁止したからね。だから、「愛している」と書いたのさ。
妻よ、グラヴァリ夫人が到着しているか確認してくれ。
喜んで。
彼女はカミーユに意味深な視線を送って、去っていく。
あなたのお供をします。奥様!
カミーユが彼女の後を追いかける。
グラヴァリ夫人はパリの男と結婚してはいけない。遺産はポンテヴェドロ(国)に残されなければいけないのだ。
ツェータ男爵は左から出ていき、ヴァランシエンヌとカミーユが右から戻ってくる。
一言だけ言わせてください。
私は聞きたくないのよ。終わりにしましょう。
僕はあなたを愛しています。
私は貞淑な人妻よ。危険は冒したくないの。私は失うことになり、あなたは何も得られないでしょう。だから、私たちはこの誘惑から抜け出さないといけないのよ。
「二重唱・私は貞淑な人妻」Ich bin eine anständ’ge Frau
あなたは貞淑な人妻だ。それはわかっています。でも、説教は無駄だ。危険は承知の上です。
ヴァランシエンヌとカミーユが右から出ていく。左から、ツェータ男爵とニェーグシュ(書記官)が来る。
彼に伝言は届けたかね?
ニェーグシュ
ダニロヴィッチ伯爵はすぐに来るでしょう。
よかった。彼はどこにいたのかね?
ニェーグシュ
マキシムに。…女の子がいるところで…
(遠くから)グラヴァリ夫人が到着したぞ。
ハンナ・グラヴァリ夫人が到着する。男性たちがハンナを取り囲んで、褒めたたえる。
私はまだパリに慣れていません。私はまだポンテヴェドロの者です。紳士方は私に親切ですが、私の財産のせいでしょうね。よく耳にしますわ。未亡人は求められていると。哀れな未亡人が金持ちになったときには、その価値は2倍になるそうよ。故郷ではお世辞の習慣はありません。くだらないお世辞はやめて下さいな。
「まだパリに慣れていない」Hab’ in Paris mich noch nicht ganz
男たち
そんな、奥様!私たちは正直に話していますよ。
ツェータ男爵、ヴァランシエンヌ、カミーユが、ハンナを出迎える。
奥様、あなたをお迎えできて光栄ですわ。
明日は皆様を招待します。
ハンナがツェータ男爵を連れて出て行く。他のメンバーもそれに続く。ヴァランシエンヌとカミーユは後に残る。
彼女と結婚しなさい。あなたは幸せになれるし、私は貞淑な妻でいられるわ。
それなら、彼女と結婚します。
何ですって!
ヴァランシエンヌはカミーユと共に去る。ダニロが公使館に到着する。
祖国よ、昼はお前に悩まされる。外交官には夜が必要だ。仕事帰りに一息つくためにマキシムに行く。私は女性たちをあだ名で呼ぶ。ロロ、ドド、ジュジュ、クロクロ、マーゴー、フローフロー。彼女たちは、親愛なる祖国を忘れさせてくれる。シャンパンを飲み、カンカンを踊り、彼女たちとキスをする。そうやって祖国を忘れるのさ。
「おお祖国よ」Oh Vaterland, du machst bei Tag
ニェーグシュ
男爵は今グラヴァリ夫人と話しています。
ハンナ・グラヴァリ?私は徹夜四日目なんだ。もう寝る。
ダニロは椅子に横になる。ハンナは4人の紳士を伴って、奥のホールからサロンに入ってくる。
皆さん、少し私を一人にして下さい。
紳士たちが去る。
誰かのいびきが聞こえるわ。
ハンナが寝ているダニロを起こす。
ハンナ?今はパリに住んでいるのか?
パリを楽しんでいるのよ。私が失ったものを補うために。もしかしたら、結婚も。
あなたは未亡人ではなく、ダニロヴィチ伯爵夫人だったかもしれないのに。
あなたの伯父さんのせいでしょ?私はお金を手に入れたわ。もし今、誰かに愛していると言われても信じない。財産目当てなのよ。
私は決してあなたに言わない。あなたを愛していると。
ハンナとダニロは別方向に去る。ヴァランシエンヌとカミーユが入る。
居心地の良い小さな部屋で、夕暮れに、二人きりで。私たちは静かに座って、手を取り合う。魔法が私たちを魅了するわ。
「二重唱」Ein trautes Zimmerlein
静かな魔法だ。僕たちを捕らえる呪文だ。
ヴァランシエンヌとカミーユは中央に向かって去る。ツェータ男爵とダニロが来る。
やっとあなたに会えたよ。あなたは結婚するのです。
誰とですか?
グラヴァリ夫人がパリの男と結婚すれば、祖国の財産が失われます。頑張ってください。祖国はあなたに報いるでしょう。
ハンナが登場して、12人の紳士が続く。男性たちはハンナと踊りたがる。
皆さんの気分を害したくないので、踊りません。
(自嘲気味に)彼女ほど裕福な人はいない。あいつらを追い払ってやる。
ダニロは8人の女性たちを引き連れて、再び現れる。
おいで、踊りの妖精たち。甘いワルツを追いかけて、歌いながら踊りに参加しよう。ワルツが鳴り響く限り、踊るのだ。
ダニロは女性たちをハンナに踊りを申し込む男性たちと踊らせる。ハンナを口説く男たちはまだ残っている。
誰を選ぶか苦しむわ。
ヴァランシエンヌとカミーユが来る。
私が彼を推薦します。
新たなライバルか。
彼はポルカを踊れます。マズルカも華麗に舞います。ワルツも得意ですわ。私がすべて試しました。彼をお勧めするわ。
僕を選んでください。
カミーユがハンナに近づくと、ヴァランシエンヌが嫉妬して、カミーユを引き戻す。ハンナはダニロを見る。
私が誰を踊りの相手として望んでいるのか?まるで私のことを気にしていないような人がいいのです。
私は踊りません。
私と踊る権利を放棄するの?
踊る権利を好きなように使っていいのですよね?奥様が与えてくれた権利は、1万フランの価値があります。チャリティーをします。この値段なら、譲ってもいい。
男たち
1万フラン?彼は狂っている。
男性たちが立ち去っていく。ハンナは怒っている。
(ハンナに)奥様、見て下さい。男たちは決してお金を払いたがらない。今どきの紳士とはこんなものです。
(ヴァランシエンヌに)すぐに反撃しよう。1万フランは払うよ。
もう彼女に恋をしているの?
あなたが望んだことでしょう?
やめてちょうだい。
カミーユとヴァランシエンヌは立ち去る。ダニーロとハンナは二人きりになる。
最後の男が去りました。あなたは自由だ。私は踊る準備ができています。
もういいいわ。踊りません。
ヴァイオリンが鳴り、あなたを甘く誘う。
ダニロが一人で踊っていると、彼女は悩んだ後、一緒に踊り始める。
嫌だわ。嫌な男。なんて華麗に踊るのかしら。
二人は踊る。
メリー・ウィドウ、オペレッタ:第2幕のあらすじ
ハンナの屋敷・庭
昼間。庭には、モンテネグロの紋章や旗が飾られている。人々はモンテネグロの衣装を着ている。
ポンテヴェドロ(架空の国)は、モンテネグロ公国をモデルにしているため、モンテネグロの紋章や旗が飾られる。
祖国にいるように振る舞いましょう。ヴィリアと呼ばれる妖精の旋律を歌うのです。森に小さな妖精ヴィリアが住んでいました。猟師は、岩で彼女を見つけました。感じたことのない震えが若い猟師を捕まえました。ヴィリア、森の乙女、ヴィリア。僕を抱きしめて。君の恋人にしてくれ。
森の小さな少女は、彼に手を差し出して、岩屋に引っ張り込みました。彼女は若者の意識がなくなるほど、キスをしました。彼女は満足するほどキスをすると消えたのです。哀れな男はもう一度彼女に呼びかけます。ヴィリア、森の乙女、ヴィリア。僕を連れて行ってくれ。君の恋人にしてくれ。
「ヴィリアの歌」Es lebt’ eine Vilja
「ヴィリアの歌」Es lebt’ eine Vilja|メリー・ウィドウ
素晴らしい!愛国的な宴ですね。
ありがとうございます。ですが、今日はパリの料理を用意しています。食後には、グリゼットのキャバレーがありますよ。ダニロ伯爵への特別なサプライズです。
ニェーグシュ!すぐに伯爵をここに連れてこい。祖国からの命令だ。彼女は伯爵に興味があるんだ。私の計画は成功するぞ!
ニェーグシュがダニロを連れてくる。
私はここにいます。
ダニロ伯爵。私は一歩一歩あなたに近づこうとするのに、あなたはすぐに避けてしまう。なぜなの?
それは駆け引きの戦略だ。私は騎兵隊だ。
さあ、お嬢さん。顔を上げて。素敵な騎士を見てごらん。そのうちの一人があなたを花嫁にするかもしれないわ。お嬢さん。彼を行かせてはダメ。彼はあなたの夫になりますよ。思い切って彼の顔を見ましょう。
「二重唱」Heia, Mädel, aufgeschaut
娘の眼差しは彼の心を震わせました。
彼女は彼が愛の告白をすることをわかっていながら黙っているのよ。おバカな騎士さん。彼は私を理解できないのね。
ダニーロは敬礼して去る。ハンナは彼について行こうとしたが、やめる。
バカ、バカな騎士さん。
ハンナが去り、ダニーロが戻ってくる。男性たちが集まる。何人かの浮気が発覚する。ツェータ男爵が少し遅れてくる。
8時に東屋に集まろう。グラヴァリ夫人について相談しないといけない。それで、みんなで集まって何をしていたのか?
妻が浮気したときにどう振る舞うかです。
私はそんなことを考えなくていいんだ。ありがたいね。
7人の男性が歌う。
女たちときたら、それぞれ違って戦略など効かない。どうしたらいいのか、まるで解明されていない。ある時は褒めて、ある時は感動させて、3人目は優しさを求め、4人目はけんかをしたり、5人目は踊って笑ったり、するとほかのものをもっと欲しがる。女の研究は難しい。私たち男性は心を奪われる。魂と肉体を知ることができない。女!女!女!
「七重唱・女の扱いは難しい(女・女・女のマーチ)」Ja, das Studium der Weiber ist schwer
ダニロ以外全員が去る。ハンナが来る。
ダニロ伯爵。私はずっと好きだった人と結婚するべきかしら?
好きな相手と結婚すればいい。
この調子だとバリの男と結婚することになりそうだわ。
気の毒な祖国。
でも、再婚する前に、この町の夜遊びを楽しみたいの。楽しい時間を過ごすのにぴったりな場所はどこ?
ポンテヴェドロ公使館の舞踏会は?
他の楽しみがいいわ。
彼は彼女をマキシムに連れて行くでしょう。彼はそこでは最も愉快で怪しげで、いかがわし娘たちと親密なんです。
とても危険だわ。
二人は踊る。ヴァランシエンヌとカミーユが来る。
せめて思い出の品を下さい。
ヴァランシエンヌは自分の扇子を見つけて、一言を書く。
私の扇子だわ。この一言を書けば十分だわ。「私は貞淑な人妻です。」私はあなたに彼女と結婚してほしいのよ。
「二重唱」Mein Freund, Vernunft!
わかりました。そうしましょう。でも、心が折れそうです。
あなたの愛を捨てるのはつらいのよ。私は義務のためにそうしなければいけません。
あなたを永遠に失うのでしょうか?せめてキスをしたい。
私を怒らせないで。
許してくれ。愛しい人。5月の光に照らされたバラのつぼみのように、僕の心に愛が光った。幸せが訪れている。だが、消えてしまうのか?5月の光は消えるのか?歓喜の歌声が私の魂に響く。愛の力が、僕のためにあなたを勝ち取るだろう。
「ばらのつぼみが」Wie eine Rosenknospe
ヴァランシエンヌは両手を広げて、カミーユは彼女を抱きしめようとする。
最後のキスを!
ここではダメよ。
小さな東屋を見て下さい。そこは秘密を守ってくれるでしょう。闇が私たちを取り囲んでくれる。愛が与えてくれるものを受け取りましょう。
ヴァランシエンヌとカミーユは東屋に入る。それをニェーグシュが見ていた。
ニェーグシュ
男爵夫人とロシヨンさんが東屋に入ったぞ。
8時だな。伯爵はまだ来ないのか?東屋を開けて、灯りをつけろ。
ニェーグシュ
中に人がいます。ロシヨンさんが女性と。
彼の愛人だな。東屋の裏にもうひとつドアがある。鍵をかけろ!
ニェーグシュは東屋の裏に回る。ダニロが来る。
ロシヨンの愛人がわかったぞ。
誰ですか?
鍵穴からのぞいてみよう。
ツェータ男爵が鍵穴を覗いている間に、東屋の奥にニェーグシュが現れる。ハンナがやってきて、彼と囁き合う。二人は東屋の後ろに消える。
私の妻だ!開けろ!開けろ!
ヴァランシエンヌは東屋の裏から出てきて、ニェーグシュを連れて離れていく。表からは、ハンナとカミーユが出てくる。
ハンナとカミーユ!私の妻は?
ヴァランシエンヌが左から現れる。
どうしたの?
その男が妻と一緒にいた。
その女性は私です。カミーユ、あなたの告白を伝えて下さい。
私は言うべきでしょうか?仕方ありません。僕が言ったことをお聞き下さい。
5月の光に照らされたバラのつぼみのように、僕の心に愛が光った。幸せが訪れている。だが、消えてしまうのか?5月の光は消えるのか?歓喜の歌声が僕の魂に響く。愛の力が、僕のためにあなたを勝ち取るだろう。
(ダニロは冷静なままでいられるかしら?)
(私はカミーユと別れてしまったの?あの歌は私のものなのに、彼女のために歌っている。)
(私の力では彼女を獲得できない。だが、無関心でもいられない。)
(彼の言葉を信じよう。私の妻はいなかった!)
さて、皆さん。暗い東屋の中で、何が起こったかわかりますか?後戻りはできません。私の婚約者を紹介します。ロシヨンです。
えっ!僕?そんなことはできない。抗議する。
男爵夫人に恥をかかせてしまうわ。
大金を失った。私は反対する。伯爵もそうだ。
なぜ私が反対する必要があるのか?私は祝福する。ただ、これは外交官としての意見です。結婚は双方の契約だが、すぐに三重の契約になってしまう。それは、女性の扉が開放されているからだ。
なんですって!陽気なパリの暮らしがいいわ。パリの恋をしよう。パリ流に自分の道を行くのよ。
パリ流に離婚までできそうだわ。
ダニロ以外が全員踊りだす。
(私は怒りで震えて我慢できない。冷静に、冷静に。)美しい人よ。結婚について、あるお話をさせて下さい。
どうぞ。私は興味津々よ。
王子と王女がいました。愛し合っていましたが、一緒になることはできなかった。王子には理由があったが秘密にしたままだった。それで王女は怒った。彼女は別の男に手を差し出し、彼にはあまりにも残酷だった。「あなたは他の者より優れてはいない。私が傷つくとでも?ハハハ!間違っている。」王子が言ったのであって、私ではない。王子は言った。(カミーユを指差して)「受け取れ。あなたのものだ。」そして、彼は去った。私もだ。
「王子と王女がいた」Es waren zwei Königskinder
伯爵、どこに?
どこに?マキシムに行きます。私は女性たちをあだ名で呼ぶ。ロロ、ドド、ジュジュ、クロクロ、マーゴー、フローフロー。彼女たちは不安な気持ちを忘れさせてくれるだろう。
ダニロが去る。
彼は一人で私を愛しているわ。彼は罠にかかる。
メリー・ウィドウ、オペレッタ:第3幕のあらすじ
ハンナの屋敷
ハンナの屋敷は、マキシムのように飾り付けられている。
この音楽は何だね?
ニェーグシュ
グラヴァリ夫人がキャバレーを再現しています。本物の踊り子と見習いです。その中に、あなたの奥様がいますよ。
私の妻が?
踊り子たちが出てくる。
そう、私たち、パリのキャバレーのグリゼット。ロロ、ドド、ジュジュ、フローフロー、クロクロ、マーゴー、そして私。夕暮れの大通りを、てくてく歩く。私たちは媚を売って歩き回る。
「私たち、グリゼット」Ja, wir sind es, die Grisetten
観客が歓声を上げる。ハンナが広間に入る。使用人が慌てて入ってくる。
使用人
男爵、伯爵、急ぎの知らせです。
「グラヴァリ夫人の財産が国内に残らなければ、国家破綻は目前である。」
私はあなたの愛国心に訴えなければいけない。彼女のハートを射止めるのだ。
いいだろう。だが、これだけは言っておこう。ハンナがロシヨンと結婚するなら、私は修道院に行く。
よろしい。それでこそ愛国者だ。
…女子修道院にね。
人々が去り、ハンナとダニロが残る。
私と祖国が、あなたとロシヨンの結婚を反対する。
ロシヨンとは結婚しないわ。交際もしていないのよ。あの時はとある人妻を救うために、身を挺したのよ。
もう一人の女性?でも、私は…
どうして言えないの?
唇は黙っていても、ヴァイオリンの音はささやく。愛してくれと。すべてのステップがお願いする。愛してくれと。手のひらに明らかに感じる。それは真実であると。愛していると。
「二重唱・唇は黙っていても(メリー・ウィドウ・ワルツ)」Lippen schweigen, ‘s flüstern Geigen
人々が集まってくる。
我らの陽気な未亡人は、ロシヨンと結婚しません。
ニェーグシュ
この扇子を東屋で発見しました。
私の扇子だわ。
これは妻の字だ。離婚だ。私は自由だ。(ハンナに)祖国の名において、結婚を申し出る。
光栄ですわ。でも、言っておかなければなりません。亡き夫の遺言により、私は再婚で財産を失います。
失う?申し出を取り下げます。
ハンナ!お金はないのか!大好きだ。愛しているよ。
お金がないのに、連れ添うのか?
ちょっと違います。私が損をするというのが亡き夫の言い分です。新しい夫の手に財産が渡るのです。
もう今なら、あなたが倍の億万長者でもあなたと結婚しますよ。
だが、この扇子は何なんだ!
私が書いた文字を読むといいわ。
「私は貞淑な人妻です。」許してくれ。
全員で歌う。
そう、女の研究は難しいのよ。
「女の扱いは難しい(女・女・女のマーチ)」Ja, das Studium der Weiber ist schwer
女の魂も肉体も知ることができない。
全員
女!女!女!黒髪でも、赤毛でも、金髪でも、関係ない。男はとりこになるのだ。